【展示会レポート】nippn × 刀に学ぶ、“成熟市場の再成長”戦略とは?

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こんにちは。
WEBマーケティング研究会の諏訪です。

本日4月4日に開催されている「マーケティングWeek」は、マーケティング関連の製品・サービスが一堂に会する展示会であり、業界の最新動向を知る貴重な機会でもあります。私もマーケターとして、毎年この展示会に参加し、知見のアップデートを図っております。

今年特に注目を集めていたのが、株式会社nippn(旧・日本製粉)の取締役マーケターによるカンファレンスです。同社は、あのUSJのV字回復を実現した森岡毅氏率いる「刀」と協業したことで話題を呼びました。本日は、そのセッションを聴講しましたので、印象深かった内容を一部ご紹介いたします。

■ 成熟市場をどう捉え直すか:nippnの挑戦

nippnといえば、乾麺や冷凍パスタといった家庭向け食品で広く知られる企業です。今回の講演では、そうした成熟かつコモディティ化が進んだ市場において、どのようにしてブランド再構築を図ったのかが詳しく語られました。

テーマは「乾麺パスタ事業の再成長戦略」。刀との協業の背景や、顧客理解のための徹底したリサーチ、ブランドポジションの見直し、さらにはプロモーション展開に至るまで、非常に密度の高い45分間でした。

■ 「美味しいパスタ」は、本当に当たり前なのか?

中でも特に興味深かったのは、ブランド戦略を定めるうえでの調査アプローチです。nippnでは、主力商品である「オーマイ」のユーザー像を明らかにするため、定性・定量を組み合わせた調査を実施。その結果、導き出されたブランドポジションが――

「美味しいパスタ」

一見すると、極めて当たり前のように思えるこの言葉。しかし当時、市場に存在していた乾麺パスタの多くは、「ゆで時間の短さ」や「麺の太さ」など、機能的価値に訴求する商品ばかりであり、“味”そのものに焦点を当てたブランドはほとんど存在していなかったそうです。

また、消費者側も乾麺パスタを「なくなったら補充するだけの消耗品」として捉えており、「美味しさ」はむしろソースに求める傾向が強かったとのこと。この“市場の構造的な盲点”に気づいたことが、再成長戦略の起点となったのです。

刀が持つ顧客視点の鋭さ、そしてnippnとの徹底したリサーチが、極めてシンプルかつ本質的なブランド再定義に結びついた好例だと感じました。

■ まとめ:今こそ、「自社の強み」を見つめ直す時

今回のカンファレンスを通じて改めて実感したのは、“当たり前”と思っている価値が、実は市場では語られていないことがあるという事実です。

成熟市場であっても、消費者のインサイトを丁寧に掘り起こすことで、新たな訴求軸やブランド価値が見つかる可能性は大いにあります。

WEBマーケティング研究会では、こうした顧客視点に基づいたマーケティング戦略の立案・実行を支援しております。「自社の魅力をどう伝えればよいか分からない」「強みを見失っている気がする」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。