はじめに|被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます
2026年8月、千葉県では大雨による被害が発生しました。
今回の大雨により被災された皆さま、そして現在も復旧や生活の再建に尽力されている皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
自然災害は、企業の意思とは関係なく突然発生します。
店舗が営業できない。
従業員が出勤できない。
道路や交通機関が使えない。
電話がつながりにくい。
担当者が被災する。
こうした状況になったとき、中小企業はどのように事業を継続すればよいのでしょうか。
「うちは大丈夫だろう」と考えるのではなく、一度、自社に問いかけてみる必要があります。
もし明日、社長や主要な従業員が出勤できなくなったら、会社は何日間、事業を継続できるでしょうか?
そして、もう一つ重要な問いがあります。
そのとき、お客様は何に困り、企業はどのように情報を届けるのでしょうか?
BCP(事業継続計画)を考えることは、災害への備えだけではありません。
「会社をどう継続するのか」「顧客との関係をどう守るのか」を考えることは、経営戦略そのものにつながります。
そして、その先にはマーケティング戦略、WEB戦略、さらには顧客を「ファン」にしていくという長期的な関係づくりがあります。
BCPは「防災計画」だけではない
BCP(事業継続計画とは、災害・感染症・システム障害などの緊急事態が発生しても、事業を止めず、または早期に復旧するために、事前に対応策を決めておく計画)というと、「災害が起きたときのための計画」と考える方が多いかもしれません。
もちろん、それはBCPの重要な役割です。
しかし、中小企業庁のBCPガイドでは、緊急時に経営資源が十分に確保できないことを前提に、「中核事業」を特定し、その事業を継続することが重要だとされています。
さらに、その中核事業を決める際には、顧客・取引先の信用や市場シェア、財務状況、社会的責任などを総合的に判断し、経営者自身が経営戦略として決定することが重要とされています。
つまりBCPは、
「災害が起きたらどうするか」
だけではありません。
本質的には、
「限られた経営資源を使って、何を守り、何を継続するのか」
を決める経営判断です。
「BCPは面倒だから後回し」が一番の問題
中小企業の経営者にとって、BCPの重要性は理解できても、
「忙しくてそこまで手が回らない」
「災害がいつ起きるか分からない」
「大企業がやるものでは?」
と感じることもあるでしょう。
実際、中小企業庁の中小企業白書でも、BCPを策定しない理由が取り上げられています。
また、従来のBCPは中小企業にとってハードルが高いという認識がある一方、「事業継続力強化計画」は中小企業が取り組みやすい制度として位置づけられています。
だからこそ、最初から立派なBCPを作ろうとする必要はありません。
まずは、
「自社にとって、本当に止めてはいけない仕事は何か?」
を考えることから始めてみてはいかがでしょうか。
「誰がいなくなったら会社が止まるか?」を考える
BCPを考えると、企業の経営上の弱点が見えてきます。
例えば、
- ・社長が営業のすべてを担当している
- ・特定の社員しか顧客情報を把握していない
- ・経理担当者が一人しかいない
- ・WEBサイトを更新できる人が一人しかいない
- ・SNSのログイン情報を担当者しか知らない
- ・顧客への連絡方法が電話だけ
- ・予約変更の対応方法が決まっていない
こうした状態は、災害が起きなくても経営上のリスクです。
従業員の病気、ケガ、退職、育児・介護、交通障害などでも、同じ問題が起こる可能性があります。
だから、
「災害が起きたら困ること」を考えることは、「普段の経営で困ること」を見つけることでもある。
これがBCPを経営戦略として考える大きな意味です。
BCPで最初に考えたい「ヒト・モノ・カネ・情報」
中小企業の事業継続を考えるとき、経営資源を整理することが重要です。
ヒト
- ・従業員が出勤できない
- ・負傷する
- ・担当者が不在になる
- ・特定の人に業務が集中している
モノ
- ・店舗・工場が使えない
- ・商品・設備が破損する
- ・物流が止まる
カネ
- ・売上が一時的に減少する
- ・復旧費用が発生する
- ・資金繰りが悪化する
情報
- ・顧客情報にアクセスできない
- ・WEBサイトを更新できない
- ・電話以外の連絡手段がない
- ・担当者が不在になると情報発信できない
中小企業庁の事業継続力強化計画でも、安否確認などの初動対応や、ヒト・モノ・カネ・情報を守るための事前対策が重要な項目として位置づけられています。
そして見落とされやすいのが「顧客」です
ここから、BCPはマーケティング戦略につながります。
災害が発生したとき、企業が困るのは「営業できないこと」だけではありません。
顧客も困ります。
例えば、
「今日、営業していますか?」
「予約はどうなりますか?」
「商品はいつ届きますか?」
「いつから営業を再開しますか?」
「別の方法でサービスを受けることはできますか?」
という疑問が生まれます。
つまり、緊急時には、
企業側の問題
と
顧客側の問題
が同時に発生します。
だから企業が事業を継続するということは、単に自社を守ることではありません。
顧客との関係を維持することでもあるのです。
緊急時のWEBコミュニケーションは「企業広報」だけではない
ここが今回の記事で最も伝えたいポイントです。
災害時にホームページへ、
「本日は臨時休業します」
と掲載する。
これは企業からの情報発信です。
しかし、顧客が知りたいのは、その先です。
「予約はどうすればいい?」
「いつ再開する?」
「代わりのサービスはある?」
「問い合わせはどこからすればいい?」
そこで、
「本日は臨時休業いたします。予約変更はこちらからお願いします。」
「営業再開については○月○日までにホームページとLINEでお知らせします。」
「電話がつながりにくい場合は、問い合わせフォームをご利用ください。」
と伝える。
これは単なる企業広報ではありません。
顧客が困っている問題を解決するための情報提供です。
その意味で、緊急時のWEBコミュニケーションは、マーケティング活動の一部として考えることができます。
緊急時こそ「タッチポイント」が重要になる
平常時の顧客接点を考えてみましょう。
- ・Google検索
- ・ホームページ
- ・Googleビジネスプロフィール
- ・LINE
- ・SNS
- ・電話
- ・メール
- ・店舗
これらは普段、顧客を獲得するためのマーケティングチャネルです。
しかし、緊急時には役割が変わります。
| タッチポイント | 緊急時の役割 |
| ホームページ | 営業状況・復旧情報 |
| Googleビジネスプロフィール | 営業時間・臨時休業情報 |
| LINE | 既存顧客への直接連絡 |
| SNS | リアルタイム情報 |
| メール | 個別の顧客対応 |
| 電話 | 緊急問い合わせ |
| 問い合わせフォーム | 電話以外の受付 |
ここで重要なのは、
「どのチャネルで集客するか」だけでなく、「緊急時にどのチャネルで顧客を支えるか」
まで考えることです。
これが、マーケティング戦略とBCPをつなぐポイントです。
「WEB担当者が出勤できない」ことまで考えていますか?
もう一つ、見落としてはいけない問題があります。
それは、
情報発信する人自身が被災する可能性
です。
例えば、
「ホームページは○○さんしか更新できない」
「LINEは店長しか配信できない」
「SNSのアカウント情報を担当者しか知らない」
という状態だったらどうでしょう。
その担当者が出勤できなければ、顧客への情報発信も止まります。
つまり、
顧客とのWEB接点にもBCPが必要です。
ここでは、
- ・代替担当者を決める
- ・ログイン情報を適切に管理する
- ・更新手順を文書化する
- ・緊急時の文章テンプレートを用意する
- ・スマートフォンから更新できるようにする
- ・外部の支援会社に依頼できる体制をつくる
といった準備が考えられます。
BPOは「コスト削減」だけではない
ここでBPOという選択肢も見えてきます。
BPOとは、Business Process Outsourcingの略で、企業の業務プロセスの一部を外部に委託することです。
例えばWEB業務なら、
- ・ホームページ更新
- ・ブログ制作
- ・SEO分析
- ・アクセス解析
- ・LINE運用
- ・SNS運用
- ・WEB広告
- ・コンテンツ制作
などがあります。
すべてを外部化する必要はありません。
重要なのは、
「何を自社に残し、何を外部に任せるのか」
を決めることです。
これはBCP対策であると同時に、経営資源を本来集中すべき仕事へ振り向ける経営戦略でもあります。
BCPからマーケティング戦略へ
ここまでを整理すると、次のようになります。
災害
↓
従業員が出勤できない
↓
業務を継続するには何が必要か?
↓
BCP
↓
自社にとって重要な業務は何か?
↓
経営戦略
↓
顧客との関係をどう維持するか?
↓
マーケティング戦略
↓
緊急時に顧客へどう情報を届けるか?
↓
WEB戦略
このように考えると、WEBは単なる「集客ツール」ではなくなります。
顧客との関係を維持するための重要な経営インフラとして位置づけることができます。
緊急時の対応が「信頼」をつくる
ここからは、単なる事業継続の話ではありません。
顧客との関係性の話です。
災害が起きたとき、
「営業できません」
だけを伝える会社と、
「営業できません。ただし、お客様がお困りにならないように○○をご利用ください」
と伝える会社では、顧客が受け取る印象は違うでしょう。
さらに、
「次回の情報更新は○月○日○時までに行います」
と約束し、実際に情報を更新する。
こうした対応を積み重ねることで、
正確な情報
↓
安心
↓
信頼
につながっていく可能性があります。
信頼は「ファンづくり」につながる
顧客が企業を選ぶ理由は、価格や商品・サービスの機能だけではありません。
「この会社なら安心できる」
「困ったときにも頼れる」
「この会社を応援したい」
という感情も、長期的な関係には重要です。
例えば災害時に、
「大変な状況なのに、顧客のことまで考えてくれている」
と感じてもらえれば、それは企業に対する信頼や共感につながる可能性があります。
ここで、
顧客
↓
リピーター
↓
ロイヤル顧客
↓
ファン
という関係性を考えることができます。
ファンになった顧客は、継続利用だけでなく、口コミや紹介などによって企業を応援してくれる存在になる可能性もあります。
「ファンづくり」とLTVをどう考えるか
もちろん、
「災害時に適切な対応をすれば必ずLTVが上がる」
と単純に断定することはできません。
LTVには、商品・サービスの品質、価格、購入頻度、顧客満足度、競合環境など、さまざまな要因が関係するからです。
しかし、
緊急時の顧客問題を解決する
↓
企業への信頼を維持する
↓
企業への好意・共感が生まれる
↓
再利用・紹介・口コミなどにつながる可能性
という視点は、顧客との長期的な関係を考える上で重要です。
だからこそ、BCPを「災害から会社を守る計画」だけで終わらせず、
「顧客との関係を守る経営戦略」
として考えてみる価値があります。
中小企業がまず確認したい「緊急時の顧客接点」10項目
最後に、自社の状況を簡単に確認してみましょう。
- ・社長が出勤できなくても顧客対応を継続できる
- ・主要担当者が不在でも顧客情報を確認できる
- ・臨時休業をホームページから発信できる
- ・Googleビジネスプロフィールの情報を更新できる
- ・LINEなどで既存顧客へ連絡できる
- ・電話が使えない場合の問い合わせ手段がある
- ・予約変更の方法を顧客へ案内できる
- ・WEB担当者が不在でもサイトを更新できる
- ・緊急時の情報発信を誰が担当するか決まっている
- ・外部の専門会社へ依頼できる業務が整理されている
一つでも「できていない」と感じる項目があれば、それはBCPを考えるきっかけになります。
BCPは「守り」から「攻め」の経営戦略へ
BCPという言葉には、「守り」のイメージがあります。
しかし、実際に考えてみると、
何を守るのか
を決めることは、
自社にとって何が重要なのか
を決めることです。
そして、
誰を守るのか
を考えれば、
顧客との関係
が見えてきます。
さらに、
どう伝えるのか
を考えれば、
マーケティング戦略とWEB戦略
が見えてきます。
だからこそ、BCPは単なる防災対策ではありません。
BCPを考えることは、自社の経営戦略を見直すことでもある。
そして、緊急時に顧客の問題を解決する情報を届けることは、単なる企業広報ではなく、顧客との信頼関係を守るマーケティング活動にもなります。
まとめ|「災害に強い会社」は「顧客に強い会社」でもある
災害を完全に避けることはできません。
しかし、
災害が起きたときに何を守るのか
誰がいなくても何を継続するのか
顧客に何を伝えるのか
どのWEBチャネルを使うのか
を事前に考えることはできます。
その準備は、災害時だけ役立つものではありません。
業務の属人化を減らし、経営資源を見直し、顧客との接点を整理し、マーケティング戦略を再設計する。
その結果として、
顧客の問題を解決する
↓
信頼される
↓
応援される
↓
ファンが増える
という長期的な関係づくりにつながる可能性があります。
「会社を守るBCP」から、「顧客との関係を守るBCP」へ。
そして、その接点の一つとしてWEBを戦略的に活用する。
東京WEB集客パートナーズでは、WEBサイトを単なる「集客のためのホームページ」としてではなく、経営戦略・マーケティング戦略とつながる顧客接点として考えています。
災害をきっかけに、自社の事業継続と顧客との関係を一度見直してみてはいかがでしょうか。
東京WEB集客パートナーズが考えるWEB集客
WEB集客で重要なのは、いきなりホームページやSEOの話を始めることではありません。
経営における課題を整理し、経営戦略を考え、その上でマーケティング戦略、WEB集客戦略へ落とし込むこと。
東京WEB集客パートナーズでは、WEBだけを見るのではなく、
経営 → マーケティング → WEB
という順番から、企業ごとの集客戦略を考えます。
「ホームページを作っただけで終わらせたくない」
「補助金をきっかけに、会社の売り方そのものを見直したい」
「自社の強みを活かして、新しい顧客を獲得したい」
そう考えている中小企業経営者の方は、ぜひご相談ください。
東京WEB集客パートナーズでは、全員が中小企業診断士の資格を持つ専門家チームが、WEB集客の戦略立案からマーケティング支援、各種補助金を活用したWEBサイト制作・改善のご相談まで幅広くサポートしております。(※ご相談後に強引な営業電話や訪問営業を行うことは倫理規定に基づき一切ございません。安心してご利用ください)
執筆・編集:東京WEB集客パートナーズ
中小企業の経営戦略、マーケティング戦略、WEB戦略を一体として考え、WEBを「集客ツール」だけではなく、顧客との継続的な関係をつくるための経営資源として捉えています。
※本記事では、公的機関が公表する情報を参考にしながら、中小企業におけるBCPと顧客コミュニケーション、WEB戦略との関係について独自の視点から整理しています。


