はじめに|経営者の頭の中に「霧」がかかるとき
「人が足りない」
「売上をもっと伸ばしたい」
「利益が残らない」
「問い合わせが減っている」
「社員が忙しすぎる」
中小企業の経営者は、日々さまざまな問題に向き合っています。
しかも、問題は一つではありません。
緊急度の高い問題もあれば、重要だけれど今すぐ対応しなくてもよい問題もあります。目の前のトラブルに対応しながら、将来の成長についても考えなければなりません。
経営者は、決して考えていないわけではありません。
むしろ、考えているからこそ、目の前の問題に思考が集中し、「点」で捉えるようになることがあります。
例えば、「人手不足」が起きれば採用を考える。「売上が減れば集客を考える。「利益が減ればコスト削減を考える。
しかし、その問題は本当に「原因」なのでしょうか。
もしかすると、表面に見えている問題のさらに奥に、別の経営課題が存在しているかもしれません。
この記事の要約
本記事では、AI・生成AIを「答えを出すためだけの道具」としてではなく、経営者と第三者が「本当の問題は何なのか」を検証するための分析手段として考えます。
会社全体を俯瞰し、バリューチェーンや顧客、商品、営業、業務、人材、財務、WEBなどを多面的に見る。
そして、経営者が認識している問題と、実際の経営構造から見えてくる問題が一致しているのかを確認する。
その結果として初めて、「生産性向上」「価格転嫁」「集客・販路開拓」「AI活用」「採用」など、どこに手を打つべきなのかを考えます。
打ち手を考える前に、まず「何が問題なのか」を明らかにする。
これが本記事でお伝えしたい考え方です。
第1章|「人手不足」は本当に問題なのか?
現在、多くの中小企業にとって「人手不足」は重要な経営課題です。
採用できない。
社員が定着しない。
一人あたりの仕事量が増える。
残業が増える。
経営者自身が現場に入らざるを得ない。
こうした状況になれば、「人を採用しなければならない」と考えるのは当然です。
しかし、ここで一度立ち止まってみます。
本当に「人が足りない」ことが問題なのでしょうか。
例えば、
「人が足りない」
↓
「採用しよう」
ではなく、
「なぜ人が足りないのか?」
↓
「どの業務に人が集中しているのか?」
↓
「どの商品・顧客・案件に時間を使っているのか?」
↓
「その仕事は十分な利益を生んでいるのか?」
↓
「そもそも、その仕事を受ける必要があるのか?」
と考えてみます。
すると、「人手不足」の背景に、別の問題が見つかることがあります。
例えば、低採算の案件に多くの人員を投入している。
手作業が多く、社員が本来やらなくてもよい業務に時間を使っている。
価格が適正でないため、売上はあるのに利益が残らない。
特定の社員に業務が集中している。
顧客を選ばず受注しているため、忙しいのに利益が増えない。
この場合、「採用」は必要な対策の一つかもしれません。
しかし、採用だけでは問題は解決しません。
人手不足という症状を生み出している経営構造そのものを見直す必要があるからです。
第2章|経営者は「点」で考えているのではない。考えすぎて「点」になる
ここは、経営者を否定してはいけない重要なポイントです。
経営者は、会社のことを誰よりも考えています。
顧客のこと、社員のこと、売上のこと、資金繰りのこと、競合のこと、将来のこと。
毎日、多くの判断をしています。
だからこそ、問題が発生したときには、その問題を解決しようと集中します。
「採用できない」
「クレームが増えた」
「売上が落ちた」
「問い合わせが減った」
「原材料費が上がった」
一つひとつに対応しているうちに、会社全体を見る余裕がなくなっていく。
これが、ここでいう「点で見る」状態です。
問題を放置しているのではありません。
考え続けているからこそ、視野が狭くなることがあるのです。
だからこそ、第三者の視点が意味を持ちます。
第三者がすべきことは、
「社長の考えは間違っています」
と否定することではありません。
そうではなく、
「一度、そこから少し離れて、会社全体を見てみませんか?」
と、考えるレイヤーを一段上げることです。
経営者が見ている「点」を、いったん「線」に戻す。
さらに「面」に広げる。
そして、会社全体の構造として見直してみる。
そのための材料として、AI・生成AIやデータ分析を活用します。
第3章|「緊急度×重要度」だけでは、本当の経営課題は見つからない
経営課題を整理するとき、「緊急度」と「重要度」で分類する方法があります。
これは非常に有効です。
例えば、
- ・緊急で重要な問題
- ・緊急だが重要度が低い問題
- ・緊急ではないが重要な問題
- ・緊急でも重要でもない問題
というように整理できます。
しかし、もう一つ重要な視点があります。
それは、
「経営者が向かおうとしている方向に対して、何が最も大きな障害になっているのか?」
という視点です。
会社には「戦略」があります。
「地域で選ばれる会社になる」
「売上を1.5倍にする」
「高収益企業に転換する」
「法人顧客を増やす」
「経営者が現場から離れて経営に集中する」
など、目指す方向は企業によって異なります。
したがって、同じ「人手不足」でも、企業によって意味が変わります。
重要なのは、
問題が大きいか小さいかだけではありません。
その問題が、戦略の実現をどれだけ妨げているのか。
ここを見る必要があります。
つまり、
「問題の優先順位」から「戦略実現を阻害するボトルネック」へ。
視点を変えることが必要なのです。
第4章|バリューチェーンで「点」を「線」と「面」に戻す
会社全体を見る方法の一つが、バリューチェーンです。
企業がどのように価値を生み出し、それがどのように売上や利益につながっているのかを、流れとして捉えます。
業種によって、その流れは異なります。
製造業の例
仕入
↓
製造
↓
在庫
↓
営業
↓
受注
↓
納品
↓
アフターフォロー
小売業の例
仕入
↓
在庫
↓
集客
↓
来店
↓
購入
↓
リピート
サービス業の例
集客
↓
問い合わせ
↓
商談
↓
契約
↓
サービス提供
↓
継続・紹介
自社の事業を、このような流れに置いてみるだけでも、見え方が変わります。
例えば、
「問い合わせが少ない」
という問題があったとします。
しかし、バリューチェーンを見ると、
問い合わせ数は十分。
ところが、
問い合わせ
↓
商談
の段階で離脱が多い。
さらに調べると、
商談
↓
成約
の割合が低い。
さらに調べると、
「問い合わせている顧客が求めているもの」と「自社の商品・サービス」が合っていない。
この場合、最初に見えていた「集客不足」は、本当の問題ではない可能性があります。
点で見れば「問い合わせ不足」。
線で見れば「営業プロセスの問題」。
面で見れば「顧客・商品・営業戦略の不整合」。
問題の見え方が変わります。
だからこそ、まず大局を見る。
そして問題がありそうな場所を見つけたら、そこをスコープして深掘りする。
第5章|大局から見て、問題のある場所をスコープする
多面的に見ることは、すべてを細かく分析することではありません。
最初から細部に入りすぎると、かえって全体像を見失います。
そこで、
大局 → 仮説 → スコープ → 深掘り
という順番で考えます。
STEP1 会社全体を見る
市場、顧客、商品、競合、財務、組織、業務、WEBなどを俯瞰します。
STEP2 バリューチェーンを見る
どこで価値を生み、どこで人・時間・資金を使っているのかを確認します。
STEP3 売上・利益構造を見る
商品別、顧客別、営業経路別など、可能な範囲で売上と利益の構造を確認します。
STEP4 ボトルネックを仮説化する
「ここが全体を制約しているのではないか」という仮説を立てます。
STEP5 問題箇所をスコープする
問題がありそうな領域を絞り、さらに詳細に分析します。
STEP6 原因を検証する
経営者の経験、現場の声、データ、顧客情報などを照合し、本当に原因なのかを確認します。
重要なのは、
「最初に見つかった問題を、そのまま本当の問題だと決めない」 ことです。
第6章|AI・生成AIで「思い込み」と「事実」を照合する
ここでAI・生成AIの役割が出てきます。
AIに、
「売上を増やす方法を10個考えて」
と頼むだけではありません。
今回の考え方では、AIを経営構造を分析するための補助線として使います。
例えば、
- 財務データ
- 顧客データ
- 商品・サービス
- 営業データ
- 業務プロセス
- 人員配置
- WEBアクセス
- 問い合わせ
- 市場・競合情報
などを整理し、複数の情報を横断して見ます。
そして、
経営者が認識している問題と、データから見える問題は一致しているのか?
を検証します。
例えば経営者が、
「新規顧客が足りない」
と考えていたとしても、分析すると、
新規顧客数そのものではなく、既存顧客の離脱率が高い。
あるいは、
「人が足りない」
と考えていたとしても、実際には業務の属人化によって一部の社員に仕事が集中している。
ということがあるかもしれません。
もちろん、AIの分析結果が必ず正しいわけではありません。
AIにも誤りがあります。
だからこそ、
AIが答えを出すのではなく、経営者・コンサルタント・AIがそれぞれの視点を持ち寄って検証する。
この姿勢が重要になります。
AIに入れる情報は、個人情報や営業秘密などの取り扱いに十分注意するとともに、事実と推測を区別し、できるだけ正確で検証可能な情報を用いることが重要です。
第7章|「売上を増やす」より「利益を生み出す構造」を見る
経営改善というと、「売上を増やす」ことに目が向きがちです。
しかし、売上が増えれば必ず利益が増えるとは限りません。
例えば、
売上は増えている。
しかし、
- ・粗利率が低い
- ・値引きが多い
- ・原材料費が上昇している
- ・人件費が増えている
- ・利益率の低い顧客が増えている
- ・手間のかかる案件が増えている
ということもあります。
そこで、
「売上高がどのように生まれているのか」
だけではなく、
「売上高がどのように利益額へ変換されているのか」
を見る必要があります。
例えば、
顧客数 × 購入率 × 客単価 × 購入頻度
という売上構造を見る。
さらに、
売上高 × 粗利率 − 固定費等
という利益構造を見る。
そして、
「どの商品が利益を生んでいるのか」
「どの顧客が利益を生んでいるのか」
「どの業務に人と時間が集中しているのか」
を考える。
最終的に見るべきなのは、
経営資源を、効率よく売上高・利益額に変換できる構造になっているのか?
ということです。
第8章|本当の問題が分かれば、打ち手は変わる
ここまで来て、初めて「打ち手」を考えます。
例えば、
人手不足
採用する。
だけではありません。
業務改善によって必要な人員を減らせるかもしれません。
AI・DXによって業務時間を削減できるかもしれません。
低採算案件を減らすことで、人手不足そのものが緩和されるかもしれません。
利益が少ない
コスト削減だけではありません。
価格を見直す。
顧客構成を変える。
商品構成を変える。
高付加価値の商品・サービスに移行する。
という選択肢があります。
集客が弱い
WEBサイトを改善する。
SEOを強化する。
SNSを活用する。
広告を使う。
という方法があります。
しかし、そもそも、
「誰に何を提供するのか」
「その商品が顧客に選ばれる理由は何なのか」
が不明確なら、WEBだけを改善しても十分な成果につながらない可能性があります。
つまり、
打ち手を先に決めるのではなく、本当の問題を特定した結果として打ち手を選ぶ。
これが重要です。
第9章|霧が少し晴れたら、経営者自身が意思決定する
ここで、人間とAIの役割を分けて考える必要があります。
AIには、
- ・大量の情報を整理する
- ・データを比較する
- ・パターンを探す
- ・仮説を出す
- ・複数の可能性を検討する
といった役割があります。
コンサルタントには、
- ・経営者の話を聞く
- ・問いを立てる
- ・視点を一段上げる
- ・AIの分析を鵜呑みにせず検証する
- ・経営課題を構造化する
という役割があります。
そして最後に意思決定するのは、経営者です。
会社には、理念があります。
これまでの歴史があります。
社員がいます。
顧客がいます。
そして経営者自身の覚悟があります。
AIが、それらを踏まえて経営判断をすることはできません。
だからこそ、
AIが経営するのではなく、AIと第三者の視点によって、経営者自身がより良い意思決定をできる状態をつくる。
これがAI時代の経営支援の一つの形だと考えています。
霧を一気に消す必要はありません。
少し高いところから会社全体を見渡す。
「何が問題なのか」
「どこから手をつけるべきなのか」
「自分たちはどこへ向かうのか」
が少しずつ見えてくる。
それだけでも、経営者の意思決定は変わります。
最終章|WEB施策から始めない。まず「何が問題なのか」を一緒に考える
ここまで見てきたように、中小企業の経営には「人手不足」「売上不振」「利益率の低下」「集客不足」「生産性の低下」など、さまざまな問題があります。
しかし、目の前に見えている問題が、本当に解決すべき問題とは限りません。
経営者は、日々の仕事の中でさまざまなことを考えています。
考えているからこそ、目の前で起きている問題に意識が集中し、「点」で捉えてしまうことがあります。
そんなときに必要なのは、さらに答えを急ぐことではなく、一度、考えるレイヤーを上げて会社全体を見直すことではないでしょうか。
経営者が向かおうとしている方向はどこなのか。
その戦略に対して、現在の顧客・商品・営業・業務・人材・WEB・財務などの構造は整合しているのか。
バリューチェーンのどこで価値を生み、どこで人・時間・資金が使われ、どこで売上や利益につながっているのか。
そして、経営者が「問題だ」と考えていることと、データから見える問題は一致しているのか。
こうした視点から、AI・生成AIを含むデータ分析を活用しながら、一つひとつ検証していきます。
東京WEB集客パートナーズは、WEBを売る会社ではありません
東京WEB集客パートナーズは、最初から「ホームページを改善しましょう」「SEOをしましょう」「広告を出しましょう」とWEB施策を決めることを目的としていません。
「何が問題なのか」を明らかにした結果として、必要であればWEBを活用する。
これが私たちの基本的な考え方です。
WEBが問題なら、WEBを変える。
営業が問題なら、営業を見直す。
商品・サービスが問題なら、商品戦略を考える。
価格が問題なら、価格・顧客・提供価値を見直す。
業務プロセスが問題なら、生産性向上やAI・DXを検討する。
つまり、
打ち手を先に決めるのではなく、経営課題を見つけた上で、必要な手段を選択する。
という考え方です。
経営者の「霧」を少し晴らす
私たちが目指しているのは、AIに経営の答えを出してもらうことではありません。
経営者が持っている経験や問題意識を尊重しながら、AI・データ・バリューチェーンなどを使って、別の角度から会社を見てみる。
経営者が見ている「点」を、いったん「線」や「面」に広げてみる。
そして、
「本当に問題なのはここなのか?」
「自社が向かいたい方向に対して、最も優先すべき課題は何なのか?」
を一緒に考える。
その結果、経営者の頭の中にかかっていた霧が、少しずつ晴れてくる。
私たちは、そんな経営支援を目指しています。
「何から手をつければいいのか分からない」という経営者の方へ
「人手不足が問題だと思っているが、本当にそうなのか?」
「売上を増やしたいが、どこから手をつければいいのか分からない」
「WEB集客を考えているが、そもそもWEBが本当の問題なのか分からない」
「複数の問題を抱えていて、優先順位を整理したい」
そのような場合は、まず一度、現在の状況をお聞かせください。
すぐに施策を決めるのではなく、何が問題なのかを一緒に整理するところから始めます。
東京WEB集客パートナーズへのご相談・お問い合わせ
東京WEB集客パートナーズでは、全員が中小企業診断士の資格を持つ専門家チームが、WEB集客の戦略立案からマーケティング支援、各種補助金を活用したWEBサイト制作・改善のご相談まで幅広くサポートしております。(※ご相談後に強引な営業電話や訪問営業を行うことは倫理規定に基づき一切ございません。安心してご利用ください)
執筆・編集:東京WEB集客パートナーズ
中小企業の経営課題を、WEB施策だけに限定せず、経営・顧客・商品・営業・業務・財務などの視点から多面的に捉え、課題の本質を整理することを重視しています。
本記事では、AI・生成AIを「答えを出すための道具」としてではなく、経営者と第三者が「何が本当の問題なのか」を検証するための分析手段として考察しています。


